塗装でも、メッキでも、染料でもない
軽く美しいカラーチタン
カラーチタン(陽極酸化処理)とは
チタン表面の酸化皮膜からの反射光と酸化皮膜内部を通過し、チタン基材表面で反射した内部反射光の干渉作用により発色します。 Å(およそ10~100㎚)単位の非常に薄い膜厚を操作し、シャボン玉のように光の角度によって見える色を変化させます。
メリット
- 光の入射方向、見る方向により微妙に色調が変化するため、塗装などでは出せない独特な色が表現でき、美しいグラデーションも可能です。
- メッキや塗料・塗装と比べ、チタンの機械的性質を失わず、耐候性、質感も良好です。
- 薄い酸化皮膜による発色であるため、チタンの下地肌がそのまま見え、下地加工肌を活かした発色表面を得ることができます。
- 形状が似たものは目視で分かるように、色分けにご活用いただくこともございます。
デメリット
- 下地処理が不足すると色むらが発生します。
- 緑色など、高電圧が必要な色については膜厚の調整が困難なため、大量生産が難しくなります。
- 光の干渉色であるため、指紋や汚れが付着すると色調が違って見えることがあり、下地処理の際、用途に応じて指紋を目立ちにくくさせる表面仕上げを選択する必要があります。
- 非常に薄いÅ単位の膜厚のため、強い衝撃が加わると剥げることがあります。
陽極酸化処理の工程
- 下地処理
仕上げのオーダーに合わせ、バフ研磨やブラスト研磨を行い、下地処理を丁寧に行います。 -
洗浄
油やほこりを除去するため、洗浄します。
※ここまでの下処理をきちんと行うことで、陽極酸化の出来栄えが違ってきます。 -
陽極酸化処理
溶液に入れ、陽極酸化処理を行います。狙った膜厚にするため、電圧や時間を調整。素材の形状によっては、治具も製作いたします。 -
乾燥
乾燥させると鮮やかに発色します。
陽極酸化電圧と膜厚および色調の関係
膜厚の増加と光の干渉作用により、ゴールド、ブラウン、ブルー、イエロー、パープル、グリーン、グリーンイエロー、ピンクへと変化します。
オーファの陽極酸化処理は表面仕上げが豊富!仕上げの指定にもお応えします。
(A): 素地+陽極酸化
素材の溶接痕、扱い傷などはそのまま残ります。形状が似た製品の色分け等に活用できます。
※弊社では、素地素材の陽極酸化につきまして表面の状態がコントロールできないため、基本的には素地への対応は承っておりません。
(B): バフ研磨(#400相当)+陽極酸化
バフ研磨は綿布で金属の表面を磨く表面処理です。光沢があり、鮮やかな仕上となります。数字が大きくなるほど目が細かくなり、鏡面に近い仕上がりになります。
(C): ブラスト研磨(#100相当)+陽極酸化
ブラスト研磨は、粒子状の研磨材を対象物に均一に投射し、表面に凸凹を発生させる表面処理です。表面のツヤが消えるため、マットな質感になります。
(D): ヘアライン(#180相当)+陽極酸化
ツヤ消し効果があるため、映り込みは少ないですが、光沢や反射など金属特有の質感は感じられます。 傷や汚れが目立ちにくくなるというメリットがあります。
※ヘアライン:ステンレス製品でよく使用される、髪の毛のような細い線状の模様を一定方向に入れる表面処理
ご用途によりご提案させていただきます。お気軽にご相談ください。
陽極酸化処理 Q&A
Q.陽極酸化と塗装はどう違うのですか?
A.
陽極酸化はメッキや塗装などの方法と比較して、機械的物性や耐久性を変えることなく、さらに剝がれる心配もないことが大きな特徴です(※)。塗装と違い、発色に必要なものがチタンの表面にある酸化皮膜で、その酸化皮膜の厚さの違いにより様々な色調を出すことが可能です。
※剥がれる場合もあります。(例)粘着の強いテープを貼付し剥がした場合、処理後に追加工をした場合、など。
Q.酸化皮膜の厚さはどのくらいですか?
A. およそ10~100㎚です。
Q.陽極酸化でできない色はありますか?
A.
酸化皮膜によって光を干渉して見える色なので、白や黒に着色することはできません。
意匠性ではございませんが、オーファの表面改質技術「FG処理」を施すことで黒っぽく(濃いグレー)することは可能です。
Q.こちらで用意した材料(支給材)を陽極酸化加工してもらうことはできますか?
A.
お預かり品(支給材)への陽極酸化は品質管理が難しいため、基本的にはお断りさせていただいております。
しかし、ご相談ケースにより可能な限りお役に立てればと思いますので、お気軽に営業へお問い合わせください。
Q.色落ちの心配はありますか?
A. 高い摩擦を加えたり、キズをつけたりした場合などは色落ちします。また、微細キズやほこり、砂などが付着するとくすみなどが発生する場合があります。
Q.陽極酸化処理の再処理は可能ですか?
A.
品質管理の観点より、現在弊社では再処理については対応いたしておりません。
再処理には再研磨が必須となり、寸法変化が起こります。また、表面状態も初回処理前とは変わるため、同様の発色ができるとは限りません。